働く人と会社のWin-Winな関係を応援するブログ

キャリアコンサルタントならではの視点で、日本人も外国人もなく、個性あふれる人材を最大限に活かす組織づくりを目指す人を応援するブログです。

キャリア面談は「転職相談」だという誤解

キャリアカウンセラーやキャリアコンサルタントと自己紹介をすると、ほとんどの方が、具体的に何をする人なのかピンとこない方が多いようです。

よく言われるのは、「転職の相談に乗ってくれる人ですよね?」というものですね。

 

企業の経営者様などからは、「うちのスタッフに転職を勧められたら困る!」というお言葉をいただくこともあります。(笑)

 

もちろん、相談者であるクライアントから転職のご相談を受ける時もありますが、私たちキャリア支援者は、仮に「私、転職したいんです!」と相談の目的を明確に伝えてくださるクライアントがいても、「転職ですね?どんな会社に転職したいのですか?」などと、そのまますぐに転職活動の支援を始めるわけではありません。

 

なぜなら、そのクライアントがなぜ転職したいと「今」相談しに来たのかをお聞きすることが支援の最初の一歩だからです。

 

ネット上でもやっぱり隣の芝生は青く見える

今はネットやSNSで膨大な量の情報が飛び交っています。就職して3年も経たないうちに、もしかしたら今どきは1年経たないうちに転職を考える人もめずらしくない時代です。

ですから、本当は真剣に転職を考えていないのに、目に飛び込んでくる人材紹介会社の広告に煽られたり、友人や知人の仕事や職場のことを小耳にはさんで自分の状況と比較したり、せっかく就職した今の会社よりも他社のほうが魅力的な会社に見えてしまっても不思議ではありません。

 

ちょっと今より条件や待遇面で良さそうな転職情報が目の前に飛び込んできたりすると、つい「今と同じ仕事内容なのに、〇〇社のほうが、うちよりも給料全然良い!やっぱり転職したほうが得かな。。。」なんて思ってしまうのですね。

 

さらには、同僚や先輩が突然他社へ転職を決めて晴れやかな顔で職場を去っていくのを目の当たりにすると、「先を越されてしまった!私は今のままでいいの?」なーんて、声にならない小悪魔のささやきが耳元に聞こえてきたりすると、「転職」という文字がちらついて頭から離れず、目の前の仕事にも集中できないという悪循環さえ引き起こしてしまいかねません。

 

「転職相談」はクライアントのSOSのサイン

では、そんな心の不安を抱えて「転職相談」に来たというクライアントに対して、キャリア支援のプロとして、キャリアカウンセラーやキャリアコンサルタントはどのように対応するのでしょうか。

 

色々なアプローチはあると思いますが、私の場合は、相談者が「転職したい」または「転職を考えている」というクライアントの言葉は、「今の状態(環境)でこのまま続けることに不安がある。」と強く感じている何かがある、だから相談したい、と解釈します。短く言えば、「転職したいのです」は、「助けてください!」というサインとしてまず受け取ります。

 

相談の目的が「転職」であったとしても、クライアントが置かれている状況や思考の背後にある悩みや課題の核心が何なのか、それをクライアントと一緒に見つけるために傾聴し、意味のある問いかけ(意図性のある質問)をしていくことが、本当の意味でクライアントの支援につながると信じています。

 

キャリアの専門家に相談したからこそ、組織に留まるという決断を安心して下せる

私が企業の従業員の方を支援するキャリア面談では、実例そのままではありませんが、たとえばこのようなケースがあります。

 

仮にNさんとします。Nさんは就職後に同学年の知人がベンチャー企業を立ち上げて自分がやりたいことをどんどん企画してビジネスの中心になって活躍しているのを聞き、自分は社内ではまだ入社2年目の新人で大きな仕事を任せてもらえる立場ではなないし、先輩社員や上司の働き方を見ると自分の近い将来が見えてしまった気がして、入社したばかりだけど知人のベンチャー企業に誘われたのもあり、現在の職場に急に限界を感じ始めてしまい、真剣に転職を考え始めていました。

 

Nさんには守秘義務を約束し、会社に対して不安に感じる理由や、転職という選択肢を考えるに至った思考の流れや将来のキャリアに対する夢や想いについて、本人の言葉で自由に語ってもらいました。

 

私は、その想いについて決して否定や反論をせず、今転職した場合のメリットとデメリット、そして会社に留まることによって期待できるメリットとデメリットを、現在と将来の人財市場のトレンドをお伝えしながら、できるだけ客観的な情報をお伝えしました。

 

このとき、私は「どちらの選択肢にもメリットとデメリットもあるし、リスクもあります。その両方についてNさん自身が考えて決断し、その決断に自分で責任を持つことが大切です。」とお伝えしました。

 

そして更に、「そのどちらの決断をしたとしても、私はキャリアコンサルタントとしてあなたの決断を応援します。」と伝えたのです。

 

そのキャリア面談の後、数か月後にお話を伺ってみると、Nさんは自分が本当に求めていることは今すぐ「転職」という形にしなくても現在の会社でもまだ実現できる道があるかも知れないと考え、会社の副業規定に従ってしばらく副業という形で友人のベンチャー企業を手伝ってみるという決断をされました。

 

しかしその後、Nさんはしばらく知人のベンチャー企業を副業として手伝いながら会社での勤務を続けましたが、現在は元々の会社でのキャリアを進むことにしたようです。

 

主役はあくまでも、クライアント

キャリアカウンセラーやキャリアコンサルタントは、転職を希望するクライアントに転職活動のお手伝いをする人、というような単純な役割の仕事ではありません。

 

Nさんのように、会社の人間でも友人でも家族でもない、第三者であるキャリアの専門家に話を聴いてもらうことは、とても有益だと思います。

 

自分にとって取りうる選択肢について現実的な吟味をするための情報を提供してもらい、どちらの決断でも応援することを約束してくれるキャリアの専門家がいるという安心感があれば、クライアントは自分に自信を持って後悔せずに済む決断を下すことができるのです。その結果、転職を思いとどまり、現在の組織で頑張ろうと思い直すことも十分にあるのです。

 

この時に大切なことは、クライアントがキャリアカウンセラーやキャリアコンサルタントの「言うことを聞いて」結論を出したのではなく、あくまでもクライアント自身が自分の意思で結論を出したと感じて行動を起こすことが大切です。

 

あくまでも決断とその後の行動の主役はクライアントです。キャリアカウンセラーやキャリアコンサルタントは、脇役でも端役でもなく、黒子に徹すれば良いと思います。

 

★企業の経営者・幹部や人事ご担当者の皆様へ★
キャリアコンサルティングを従業員に受けさせたりしたら転職されてしまうのでは、とご心配の中小企業の経営者の皆様、一度お試しになってみませんか?
キャンペーン中の今なら、一社につき従業員2名まで無料(実費交通費のみご負担いただきます)でキャリアコンサルティング(1名50分)をお受けいただけます。下記フォームから「キャンペーン相談」と明記の上、お気軽にご相談くださいませ。もちろん秘密は厳守いたします。

https://chieko-career.com/contact-us

 

★外国人雇用に興味のあるキャリア支援者の皆様へ★
企業領域で活動されているキャリア支援者向け勉強会をZOOMで定期開催しております。ご興味のある方には、下記リンクで詳細をご案内しております。

https://chieko-career.com/information/29

ZOOMではなくオフライン開催への参加ご希望の方は、下記リンクから9月28日(土)にご参加ください。

https://chieko-career.com/information/30