最近日本の組織の中でも実施する企業が増えてきている1on1ミーティングですが、うまく機能するためには上司と部下の信頼関係が必要ですよね。
上司は真剣に部下の相談に乗ってあげたいと思っていても、肝心の部下が上司に対して本音を言える心理状態になっていなければ、せっかくの1on1ミーティングも効果が半減どころか実施することへの抵抗すら生じてしまいかねません。
私の経験では、いわゆる人事権を持つ立場の経験は少ないながらも長年外資系企業各社の組織の中で仕事をしてきた中で、1on1ミーティングを行った経験は上司の立場でも部下の立場でも両方があります。
1on1ミーティングが目的の成果を上げるものとなるには、1on1ミーティングの制度を導入する前に会社として明確にしておくべきポイントがあると思います。
1on1ミーティングを何のために行うのか
ポイントの一つは、1on1ミーティングを実施する目的を明確にすることです。会社として、なぜ1on1ミーティングを行うのかという目的が社内で明確にされていること、そしてその目的を上司と部下がしっかり理解しているかということが非常に重要です。
一般的に、1on1ミーティングは部下の成長のために行うものであると言われますが、私は「1on1ミーティング」という呼び方でその組織の中でどのような目的で行うのかはその組織によって異なっても良いと思っています。
逆に一番避けたいのは、目的を明確に社内に表明し理解をされていないままで「1on1ミーティング」という名前の上司と部下の密室ミーティングを継続的に行ってしまうことです。
「1on1ミーティング」の定義を上司も部下もそれぞれの解釈のままミーティングを継続的に行えば、部下は上司との小さな評価面談の回数が増えただけだと解釈し、メリットを感じないため本音も語らないでしょう。
私自身、部下として「1on1ミーティング」の目的も意味も良く分からないままに臨んでいた頃、上司の不評を買わずないように、ミーティングを当たり障りなく早く終わらせることしか考えていませんでした。
つまり、当時考えていたことを本音で上司に語ることはほぼ無く、ましてや悩み事を相談することなども一切ありませんでした。
その上司との仕事上の信頼関係はありましたが、自分の中長期的なキャリアの相談に乗ってくれるかどうか、の話は別だと考えていたからです。
また、上司も自分自身がプレイングマネージャーである場合は、自分の業務時間が「1on1ミーティング」によって削られてしまうため、できることなら自分が気になっているプロジェクトの進捗確認で済ませてしまいたいと思う気持ちを持ってしまうのも無理もありません。
この点、上司が「1on1ミーティング」の目的をはっきりとさせれば、部下もその目的に沿って自分の考えを上司に伝えることができます。
1on1ミーティングで部下が本音を話せる関係か
「1on1ミーティング」導入の前にもう一つ明確にすべきポイントは、部下が本音を話しても適切に受け止めてもらえるだけの日ごろの信頼関係があるか、という点です。
私がこれまでにキャリア面談をした経験から言うと、通常部下自身が成長したいと思っていても、上司(プレイングマネージャーの場合は特に)の時間を自分のために奪うことに遠慮する傾向があり、会社の指示だからという理由で目的も明確には把握していないまま、消極的に「1on1ミーティング」に参加している場合も少なくないというのが実感です。
そのような状況では、部下は実は転職を考えているなどと言った本音を上司に話してみようとは思えないでしょう。
例えば、本音では職場で自分の裁量が自由にやらせてはもらえないのでモチベーションが上がらない状況にストレスを感じていて、仕事を辞めたいわけじゃないけれど、新しいことにもチャレンジして自分の可能性を広げたいという想いから副業を始めようと考えているかも知れません。
そんな部下の本音を、上司は知る由もなく形式的な「1on1ミーティング」を繰り返しているうちに、部下は隠れて副業を始めて視野が広がり、他社の芝生が青く見えて本業に身が入らなくなり、さらには転職まで視野に入ってきます。
そうなってしまったら、本来なら今の組織で活躍できる可能性のある部下も、その部下の本音をしっかり受け止めていれば優秀な部下を育てることができたはずの上司も、会社はどちらも失うことになり組織にとっては大きな損失です。
副業したいという本音を上司に言える環境を会社は担保できるか
では上司や組織全体としてはどうすれば良いのでしょうか。
少子高齢化と定年引上げなど、今の日本は人生100年時代を論じるほど職業に対する考え方が多様化しています。また、働き方の選択肢もかつてないほど増えています。
そんな中で、部下がもっと成長できる仕事を見つけたい、自分の可能性を応援してくれる組織で働きたいと思うことはもはや止めることはできないでしょう。
もし自社の環境で育った部下の副業を禁止せざるを得ないのなら、部下が今後もその組織で働きたいと思える環境の整備を継続的に行い、本人のさらなる成長を促す職務と裁量を与えることが重要です。
それがどうしてもできないのであれば、副業を一定のルールに基づいてオープンに認めて、その成果を本業に還元することを促す評価制度にしていく方向に切り替えるほうが、中長期的にみて組織にとってはメリットが大きいのではないでしょうか。
つまり、副業の禁止を盾に部下を縛るのではなく(そうすればいずれ部下の心は離れていってしまうからです)、むしろ副業をオープンにして本業と副業の線引きをあえて明確にさせることで、本業へのコミットメントを促すほうが、本人のモチベーションが本業に対しても副業に対しても上がるのではないでしょうか。
そのように副業を許可制にしてオープンにすることで、逆に社員の会社に対する忠誠心や信頼感をレベルアップすることが可能になると私は思います。
あなたの組織では、「1on1ミーティング」で部下が安心して上司に副業などのデリケートな話題についても相談できる職場環境がありますか?
上司と部下の日ごろからの職場での信頼関係構築に課題をお持ちの場合、キャリアコンサルタントを緩衝材の役割として活用いただくと効果的です。
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